チオビタ牧場

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「俺の記憶が消えたら読み返したいもの」が目標。愛憎一本

【ガンダムUC】ミネバの演説

ネタバレ注意!!!


ミネバの演説

地球と宇宙、この世界に住まうすべての人たちへ……
私は、ミネバ・ラオ・ザビです。このような形でみなさんに語りかける無礼を、どうかお許しください。

私は、かつてジオン公国を先導したザビ家の血を継ぐものです。
しかし、これから私がお話しすることは、私の出自とはなんら関係がありません。
今日、私は連邦政府の根幹に関わる、ある秘密を知りました。
この世界に住むひとりの人間として、私はその秘密をみなさんにお伝えしようと思います。

宇宙世紀の開闢とともに発布された宇宙世紀憲章。
連邦政府の礎であり、政策決定の要石たる石碑のことは、みなさんもご存知でありましょう。
九十六年前、首相官邸ラプラス>の中で造られたそれは、直後に起こった爆破テロによって失われたと信じられてきました。

しかし、それは失われてはいなかったのです。
レプリカの石碑がダカールの議事堂に飾られる一方で、オリジナルの石碑は永いあいだ隠されてきました。
ご覧頂きたい。
いま、私の後ろに映し出されているのが、<ラプラス>で造られた本物の宇宙世紀憲章なのです。

おわかりのことと思います。
本物の宇宙世紀憲章には、わたしたちが知らない一章が付け加えられていました。
将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者たちを優先的に政府運営に参画させることとする……。
『未来』と題されたチャプターには、そのような条文が記されていたのです。

無論、これはニュータイプを指して言ったことではありません。
宇宙に進出した人類は、その認識力を拡大させ、誤解なく分かり合えるようになる。
ジオン・ダイクンがニュータイプ論を提唱するのは、この憲章が作られてから四十年以上も経ってのことです。
ラプラス事件』とともに葬られたこの一節は、遠い未来に手向けられた祈りでしかなかったはずなのです。

でも、その偶然の一致が、この憲章を呪いに変えてしまいました。
この一節がジオンのニュータイプ論と結び付けられ、スペースノイド独立運動を刺激したらどうなるか。
最初は『ラプラス事件』の真相を語るものでしかなかった石碑は、その時から連邦政府を覆しかねない恐怖の的になったのです。
連邦はその存在を恐れ、石碑を手にしたビスト財団と共謀のもと、これを『ラプラスの箱』と呼んで封印してきました。

それは悪しき行為であったかもしれませんが、平和を維持するためにはやむない決断でもありました。
しかし、それが制度として受け継がれていった結果、『箱』が持つ本来の意味は失われ、ニュータイプ的なものを忌避する心性だけが根づいていったのです。
一年戦争という悪夢を経て、その心性は連符政府の硬直性そのものになりました。

あと数年のうちにジオンの名を持つ国家は消滅し、ニュータイプ神話も歴史の闇に埋もれてゆくでしょう。
それは、よいのです。
この事実の公表をもって連邦を糾弾し、ジオン再興に結びつける意思は毛頭ありません。
もしそのようなことを考えるものが現れれば、ミネバ・ザビの名において粛清する、と宣言しておきます。

そのようなことではないのです。
ラプラスの箱』とは、人の善意を収めた箱でした。
百年前、私達スペースノイドは、善意と共に宇宙に送り出されたのです。
良心を慰めるための欺瞞でも、結果に責任を持てない祈りであったとしても、そうせざるを得なかった人たちの心に想いを馳せてみてください。
少ない選択肢の中から最善と思われるものを選び取り、後世に一縷の願いを託す。
事の大小の違いはあれ、私達も日々彼らと同じ葛藤を繰り返しています。
『箱』を遺したのも、封印したのも、解放したのも、みんな人が為したこと。
すべて私達ひとりひとりの罪であり、打算であり、破滅にも希望にも転じる可能性なのです。

よりよく在りたい、理不尽を避けたいとする人の想いが、この世界を少しずつでも前進させてきました。
そうして発達した文明を地球が支えきれなくなったとき、私達の父祖は増えすぎた人間を宇宙に送り出した。
棄民の謗りを免れぬ行いではありましたが、その根本は人と地球を生かしたいとする善意なのです。
将来、宇宙に適応した新人類の発生が認められた場合、その者たちを優先的に政府運営に参画させることとする。
西暦最後の夜、宇宙世紀憲章の末尾に付け加えられたこの一節も、また限りない善意によって紡がれたものだと言えましょう。

すべては善意から始まりました。
これを善意に帰結させられるか否かは、私達の心持ちひとつです。
私達が変われば、世界も変わります。
ニュータイプにならずとも、私達はひとりひとりが感じる心を持ち、環境に応じて変化できる力を持ち合わせているのです。
人間の業を否定して、ニュータイプの地平に救いを求めてもなにも始まりません。
不便でも、もどかしくても、血の中から紡ぎ出された善意を繋げてゆくしかない。
必要なものは、すべてこの体の中に備わっているはずなのですから。

かつて、リカルド・マーセナスは言いました。
他人の書いた筋書きに惑わされることなく、内なる神の目でこれから始まる未来を見据えよ、と。
あれから百年近い時を経て、私達は再びスタート地点に立っています。
私の言葉は、私のものでしかありません。
この放送をお聞きの皆さん、どうかご自分の目で真実を見極めて下さい。
そして、百年前の人たちがそうしたように、善意をもって次の百年に想いを馳せていただきたいのです。

私達の中に眠る、可能性という名の神を信じて……


感想

劇場版ガンダムUC、何度見ても面白いです……。
バンナムは死ぬまでYoutubeで無料公開するべき。見た人の99%がガンダム好きになるんだから。
(TV版は最高のED無くしてぶつ切りしただけなので死んでも見るな。視聴禁止にしろ)

4回目くらい見た後に、「あれ?演説分かんねぇな」とやっと気付き、検索しましたがヒットしませんでした。
名言集とかいう良く分からん本からの抜粋です。

著作権でアウト!でしたら消します。

俺が打ち込まなくても公式がちゃんと公開しろよ……。


終わり